ボーカロイドのアイテムと性格との関連と、鏡音リンのヤンデレ化
鏡音リン・レンとロードローラーの経緯を先日紹介しましたが、持ち物が定まった次は、そのキャラクター(性格)付けにスポットが当たっているようです。
まず、今やリンの持ち物(スタンド?)としてロードローラーが定着したと言いきってしまってよいでしょう。
初音ミク+ネギを筆頭に、彼らの持ち物は非常に重要なもの。なぜなら「ネギ」、「アイス」、ただそれだけのアイテムが、無数のニコニコユーザー達が一人のキャラクターに共通のイメージを抱くための非常に明確なアイコンの役割を果たしてきたからです。
●ミクとカイトの場合
まず、それぞれの由来は以下のページを参考に。
>>ミクとネギ なぜ初音ミクは長ネギを持っているのか (なつみかん@はてな)
【初音ミク】なんでミクはネギ好きなのか?【ネギ】 (YouTube)
>>カイトとアイス KAITO=アイスの起源 (なつみかん@はてな)
【KAITOまとめ】やっぱりお兄ちゃんが好き!(カナタマタコデイズ)
では、ミクのネギ、カイトのアイスが、彼ら自身のイメージに与えた影響を挙げてみます。
まずミク。
彼女はボカロブームのさきがけであり、発売された当初はやはりまず「歌わせること」、その歌唱力に注目が集まりました。
しかしやはり上手く歌えないミクも多く、そこをネタにした動画も続々登場。
「上手く歌う」ことだけではない、音を外してなんとも情けない空気をかもしだすミクも人気を集め始めます。
そしてその中でじわじわとロイツマなネギ振りミクが浸透。
はじめは元ネタ動画のネギ振りミクが「はちゅねミク」として独立していた感もあったのですが、
その後ネギは瞬く間に本家のミク自身と融合。
ここで、
- 可愛いビジュアル(ネギ色ベース)
- 音を外した時及び、台詞を喋らせた時のなんとも情けな可愛い声
- え、なんでよりによってネギ?
これら要素がロイツマのイメージと合わさって、「可愛いアホの子」としてのキャラクターが完成したのでした。
カイトのアイスはもっと明確と言っていいでしょう。
なぜならブームになった最初のネタ動画がそのままアイスを生みだしたからです。
これまた、
- 爽やかなビジュアル
- なのにアイスが大〜好き
- そしてなによりミク以上に情けなさすぎる声w
これらから、「甘党でヘタレでミク以上にアホの子」なイメージが生まれ、「バカイト」なんて言葉まで出来たわけです。
こうして並べると、ミクとカイトのアイテムによるキャラ付けは、同じような経緯をたどったことがわかります。
ところが、リン&レンになると少し状況が変化していました。
●鏡音リンの場合
ミクの妹分として、リンの発売が発表された途端に話題になったのが、『ミクがネギならリンは何を持つの?』だったのです。
たまねぎ、みかん、かぼちゃ、ばなな、にんじん、etc...
リンはそのビジュアルが明かされてすぐに、彼女のイメージが真っ白な状態から、いろいろなものを持ってきました。
ただ、声のイメージも元ネタになる動画も存在しない状況にそれぞれの意見は細分化。
なかなか「リンにはこれだ!」という決定的なアイテムは現れないままでした。
「まぁ、発売したらまた何かが生まれるだろう…」そんな空気が漂い始めた中で、
あの伝説のミクが登場し、言い放ったのでです。
『ミクは、ネギじゃないですか…つまり野菜!
だからリンは…ロードローラーが似合うと思うけど…どうかな?』
さらに爆弾初言ミクは続けます。
『だって髪の色が同じだし…あと、「ロードローラーだ!wRYYYYYYYYYN!!!!」とか?』
こいつ、ジョジョネタまでかぶせてきやがったぜ…!!
この動画がニコニコ住民、そして職人達に与えた衝撃は計り知れなかったことでしょう。
ほとんどがビジュアルとの相性だけで模索されてきたアイテムに比べ、
- 食べ物じゃないってレベルじゃねーぞ!
- ちょ、ミク、おまっ…!www
- とどめのDIO様
もう、破壊力ありすぎです。
なにより、ロードローラーですよ!?14歳の少女とロードローラー!
さらにこれまでにない展開は続きます。
ロードローラーが投げかけられた時点でもまだリンは発売前であり、
一方で、職人達にはタイムリーに、「ピアプロ」という新たな発表の場所が提供されました。
ここで様々なリン+ロードローラーのイラストが一斉に展開されたのです。
(ちなみにレンの存在が発表されたのはこの後でした)
絵師達に与えられたのは14歳の女の子、そしてロードローラー。
ここで、新たな化学反応が起こります。
ロードローラーが、リンのキャラクターを作りだし始めたのです!
もともとのリンの元気っ娘なビジュアルとロードローラーは相性も良かったようです。
(ミクの見立ては正しかったと言わざるをえない・笑)
最初はロードローラーにちょこんと乗って無邪気に整地をしてみたリン。
しかし、それだけでは面白くありません…
そこで、全てを踏みつぶしてしまうロードローラーの過激なガテン系イメージが、
どんどんとリン自身に重ねられていくようになりました。
これは、キャラとアイテムとの「ギャップ」が楽しまれたネギやアイスには無かったことです。
(アイスはカイトに可愛らしいイメージを与えたので共通するといえるかも。
でもカイトの場合はやっぱり何よりあの声ありきで、アイスはそれを助長したにすぎない)
その結果…
リンには元気っ娘をはるかに越えた、最強の破壊力を持つ腹黒凶暴少女、のイメージが生み出されてしまいました(笑)
ミクやカイトがヘタレ系のお馬鹿キャラクターであったこともあり、彼らとのコントラストも絶妙。
正直、「可愛い女の子」の需要はミクで十分に満たされていて、リンにはそれとは違う何かを皆が期待していたわけで、
この攻撃性はリンの最大の新鮮な要素として受け入れられたといってもいいでしょう。
しかも、いざ発売してみると、声までもが意外とそのイメージにハマってしまったという奇跡。
さすが、「パワフル」なボーカロイド!(笑)
●さらに展開は続く
さて、ロードローラーにより、過去にない種類の期待を持って迎えられた、リンのオリジナル曲群。
それは、ある意味壮絶と言える作品達でした…(笑)
なによりも、ロードローラーの凶暴性が、ついにはリンをヤンデレ化してしまったのです。
これにはびっくりしました。
まさかヤンデレ化までしてしまうとは…なんていうか、時代を感じた(笑)
ただ、一方で、黒いリンのイメージがあまりにも先行してしまったことを残念がる声も上がっています。
それは、明るく元気なリンを支持する人たち。
彼らは嘆きます。
発売直後に生み出された「伝説のリン四部作」の評価があまりに低いと。
四部作に関する経緯はこちら。
鏡音リンのロードローラーのイメージを覆す対抗馬 ジェバンニPが4晩連続でやってくれました (魔王14歳の幸福な電波)
カナタもこの四部作大好きです。
キャラクターソングとしてのインパクトは1作目『リンリンリンってしてくりん』、メロディのインパクトは弱いけど歌詞が最も良いのは2作目。そして、カナタの一番のお気に入りは、リンのイメージにぴったりなちょっと切ない応援ソングである3作目です。
(4作目は作者からのメッセージ色が強いので、ちょっと除外しておく)
何より、全曲に「リン」というキーワードを入れ、何も知らずに聞けばオリジナル曲でありながら、リンのキャラクターソングとしても成立している。そのセンスに脱帽です。
惜しむらくは、声質がミクに比較的近い曲達であること。
もう少し、リンらしい声で歌ってくれたなら…
そうすれば、正統派リンの魅力の普及効果が、さらにあったのではないかと思えます。
とはいえ、あのうpスピードでそこまでの完成度を求めることがどれだけわがままなことかくらいは分かっている(笑)
これからも、非ヤンデレリンの巻き返しに期待です。
個人的には、ヤンデレよりは元気っ娘派なのですが、それだけでは面白くないしロードローラーネタも大好きなので、
その中間くらいが理想かも…なんて思うのですが。
「そんな意地悪なこと言うなんて…マスターの馬鹿ー!ロードローラーでひいてやるぅ!!><」
「ちょ、や、やめろ!リン、待て!ぎゃぁああああ!!」
くらいの感じ?
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↑追加。ヤンデレキャラになったのは、元ネタのDIO様の影響があるのですね…!