かなたむんむんブログ

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あるオタ女子からの感想〜「アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本」〜

今、はてな内で流行しているこの10本シリーズ。
説明すると*1、すべてはこの記事がきっかけ。
アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本


その後このエントリに対しての意見が飛び交ったり、一方でこれがテンプレ化して様々な形で応用され盛り上がったり。テンプレ化シリーズに関してはこちらのまとめをどうぞ。
web]"「アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本」"関連 - REVの日記 @はてな


で、いろんな意見を読んでおもしろいなーと思ったので、自分の意見もちょっと書いてみようと思います。いわゆるマジレスってやつ。別に元増田*2氏を叩きたいとかいう目的ではなくて、『いわゆる「普通の女の子」って、こんな感じだよ〜(自分の周りは)』っていうのを、一応四半世紀女の子社会の片隅をかいくぐってサバイブしてきた女オタクとして書いてみたくなったのでした。


念のため自分スペック

  • 中2の時から腐女子。
    • だけどアニメ観るようになったのはここ数年。本数も少ない。
  • 中高進学校(共学)で比較的オタにも優しい環境育ち
    • 男女共にオタク比率が高くてあんまり迫害もされなかった。一般女子とは上手く棲み分けできてたと思う。
  • 大学進学
    • 一般的に見れば真面目な子が多くて、根っからのスイーツ(笑)女子も少ない。そして理系。文系に比べたら、サブカル女子が圧倒的に少ない。逆に、おかげで私は隠れオタク暮らし。

元記事に対する感想   -安易に彼女と語ろうと思うなかれ-

 
挙げられている作品ラインナップの是非の以前にまず、私が最も言いたいことは、「たいていの女の子は作品のテーマなんて考えない…よ…!」ということ*3
何かの作品について語る、という、よく“オタクの特性”としても取り上げられる行為に、すんなりと対応できる女の子は、たいてい既に何らかのしっかりした文化系趣味を持つ子(サブカル女子含む)や、大学で文科系学部(文学部とか)に進んだ子、などではないかと思います(もちろんこの二群は大いに重複します)。なぜなら、作品語りとはある日突然できるようになるわけではないからです。だからこそ、誰もが小学校の読書感想文には苦労するのです。そして、たいていの人の作品語りスキルはそこ止まりです。


実際、私が友人と映画を観に行ったとして、作品自体の感想として挙がるのは「面白かった」か「面白くなかった」かです。どこが面白かったかに踏み込む時もありますが、それはたいてい「キャラクター語り」レベルであって、元記事に挙げられているような作品のテーマ性等に触れようとすると、最悪引かれる…ことはなかったとしても、きょとーん☆とされたりします。
  
単純な具体例を挙げれば、たとえキャラではなくストーリーが話題になった場合でも、例えば女の子が「前半がダラダラしていて退屈だった」というのに対して、「うん、主人公が抱える葛藤をこのキャラクターを通じて表現したかったんだろうけど、このエピソードは要らなかったし逆にこっちのキャラクターとか空気になっちゃってたよね」なんて返しても、「おおー」などと妙な感心の仕方をされて終わります。彼女から「うん、いっそそこはばっさりカットして、このくだりからそのまま一気にクライマックスに持っていけばよかったのにー」なんて返ってくることはまずあり得ません。いや、これ、女の子に限らないとも思うのですけれども*4


だから、何が言いたいのかというと。
「そんな女の子いねーよ!」は既に散々言われているところでありますが、そこは除外して。


(元記事より)「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らないアニメの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持って」いて「アニメ知識はいわゆる「テレビまんが」的なものを除けば、ジブリ劇場用アニメ程度は見ているサブカル度も低いが、頭はけっこう良い」彼女が、無邪気に「ちょっとアニメのことが聞きたいんだけど、何を見たらいい」と聞いてきた…
  
その状況で、元記事の増田君が「非オタのためにオタ臭を出さずにアニメを説明する」ための「コミュニケーション力」を最大限に発揮して「○○の部分は、どんな風に感じた?」と問いかけたと仮定して*5
  
  
残念ながら、そんな彼女はそこに対する「自分の感想」を明確に意識していないだろうし、ましてやそれを言語化するスキルは持っていないのです(っていうか私だってどれだけ語れるか自信がない。そういった論議を交わす能力って、やっぱりある程度積極的に訓練しないと身に付かないんだと思う)。
というわけで増田君が、自分から語ることを自制し、やんわりと遠回しに彼女から感想を聞き、遂に彼女から引き出すことができた「オタでは思いもつかないような視線」は…悲しいかな、彼にとっては「底の浅い」(としか感じられない)「的外れ」(としか感じられない)、アニメ好きにとってはがっかりしてしまうような意見、ばかりであるでしょう。
 そのままでは、『俺は黙る、彼女が(このラインナップを)しゃべる(しゃべってもらうようにリードする)。』という状況に至るのはほぼ不可能ではないかと思うのです。
  
  
では、上のような彼が描く理想的な状況を生み出すにはどうすればいいのか。最も簡単なのは、元増田氏が彼女に対して語ることです。ある場面の演出の意図、キャラクターに投影された裏ネタ、その作品が作られた時代背景とそれが作品に与えた影響…それを一つずつ語って、彼女に作品語りのノウハウを伝授するしかありません。
上記のような設定の彼女なら、彼氏のレクチャーも素直に聞いてくれることでしょう。
そして遂には、
あなたの教育による、あなたと趣味を同じくする、立派なオタク彼女の完成です!
おめでとう!おめでとう!!

…嫌味が過ぎました。
でも、本当に、これしかないと思うのです。理想を叶えるなら、真っ白な彼女見つけて、一から教育してあげてください。穿った見方を重ねれば、ぶっちゃけ、元記事の慎重な彼女設定の裏にはこういった願望もあるような気がするよ!(サブカル度高いとだめ、とか)
  
  
この結論には、私自身の、周囲の女の子とはなかなかこういった趣味を共有はできないのだ、という諦めが強く影響しているので、偏った視点もあるとは思います。世の中は広いし、まだまだいろんな女の子がいるだろうし。でもまぁ、そんな偏りは、元記事とお互い様かな、ということで。
  
  
とはいえ、逆に素直に考えても、二人でオタクになれちゃう、って相手の方が、元増田氏のような「相手と共有したい」と考えるタイプの人にとっては楽しいんじゃないかな?それでも彼女は非オタクであってほしい、と言うのなら、その理由には彼自身の女オタクにたいするネガティブイメージがあるとしか思えないんだけどなー。いやこのへんは私の勝手な被害妄想かもしれないすみませんぬるオタのくせにすみません。


さて、どうして私が、「彼女は語れないよ」という点にこうやって拘るかというと、『「同じアニメを観る」という共通の体験をすれば、「感想や意見は違えども、その作品について語ることができるようになる」』というこの勘違いこそが、まさに世に言う「キモオタ」を産んでしまう一因のようにも思えるからです。
観せるべき10本のラインナップではなく、それを観る女の子の仮定のしかたの是非ではなく、「見たなら語れるようになるだろう」という期待・前提がちょっと怖い
それとも「語れない」女の子は、設定とは違う、「頭が良くない」女の子なんでしょうか…。
「非オタに対してオタが一方的な趣味を勝手に押し付けるのは、イクナイ!」というのは(合言葉的に)割と浸透していると思うし、元増田氏もだからこそ「脱オタコミュニケーション」等おっしゃっているのだと思うのですが。でも上のような勘違いも、結局は周囲に対して同じ結果を与えると思うんですよね…。いやはや。


人に自分の好きなものを勧める時には、相手の好みを第一に優先して、「ありがとう、面白かった」なんて笑顔が返ってくることだけを期待するくらいが良いと思うのです。そして、相手が何らかの意見や感想を求めてきた時こそが、相手が「作品のある要素を明確に意識している」証ですから、その時には一生懸命自分の意見を伝えてみる。それぐらいが理想かなー、なんて思います。そんな場面にはなかなか遭遇しないのですけど。


挙げられた10作品に対して   –偉そうに言ってますが相変わらずアニメに関しては初心者です-

ちなみに自分が周囲の友人に紹介できるか、という観点から感想を書くと。


自分もプラネテスは「アニメが観たい」という子にはお勧めできる作品かな!って思ってたクチです…。
時かけは先日のテレビ放送時に友人が「途中までしか観てないー」と言ってて、「あれを途中で観るのやめれちゃうのか!」と軽く絶望しました。
あとはハードル高いと思います。うる星は大抵の女の子は「ラムちゃん可愛い〜」とは言ってくれるだろうけれど、敢えてビューティフルドリーマーは…><
秒速5センチメートルに至っては私自身にとって既に地雷な香りがするのでまだ観てません!


関連エントリ紹介


さて、元記事に対して最終的に上記のような感想を抱いた私ですが、いくつか「おおー」と思った関連エントリをご紹介。


非オタ女性に薦めちゃいけない作品。 - そらを自由に飛びたいな
 私が読んだ中で一番リアルだと思ったのがこのご意見。プラネテスも駄目、というご意見にはプチ凹みしましたが(笑)、「コメディ」というキーワードに目から鱗でした!確かにそうだと思う!
 まぁ元増田氏の好みとは、ずれる気はします。


アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本 - ☆姫日記☆
 こちらも女性の意見。
 らきすた・ひぐらし・スクイズ・はるひ、と、ほおわぇええ!?と思えるラインナップですが、「オタ的な素質を持ってはいて興味もあるけれどそれを開花させていない女の子(潜在的オタ?)」、には良いような気もします。つまり上記のアニメの絵柄を「可愛い」と感じられて、実際に鑑賞する、というステップまで行ける女の子には良いのかもしれない。実際、若い世代だったらこれらによってオタ開花した、という子も多そうです。


妄想じゃない、リアル非オタ彼女がアニメを観たときの反応を淡々と記録するよ - 世界のはて
 イッツソーリアル!いいですね、こういう二人、素直に憧れます。ブコメで「彼女さんはオタクなのでは?」とありましたが、むしろサブカル度が高いんだと思います。


orangestarの日記
 そして最後はこれだー!はい、私もやっぱり鼻で笑われますかねorz
 いや1〜4は良いと思うんだけどな。ただその先に越えられない壁が。
 冒頭の、

ここであげているアニメってかなりアウトというか、たとえ彼女がオタクだとしても、お互いの価値観を摺り寄せるために恐る恐る見せ合って感想を言い合って、お互いの不可侵領域に対しての協定を結ぶ為のレベルのアニメだと思う。(実際の話、エヴァとかうる星2とか秒速5センチメートルに関しては、お互い胸に一物があり、オタク同士でも(オタク同士だからこそ?二人でみて、うだうだ言うには時間がかかった。)(そして新海誠の地雷は踏み抜きました)いわんや一般彼女おや。(反語)(あと、一般彼女が出来たわけじゃないけれども多分、一般女子にこんなもの見せたら引くと思う。

 は一般論として本当にごもっともだと思いますです。


蛇足 -いつも長文エントリの落とし所がわからない-


これらを踏まえて、自分なら何を勧めるんだって話も書いておくべきかとも思うのですけれど、あちらこちらのコメント等でも見られたように、やっぱり普通の女の子って、シンプルに楽しめるものが好きだよなー、と。
というわけで、私は無難に「おじゃる丸」を挙げておこうと思います…
おじゃるは可愛いし、面白いし、アニメ好きからの評価も高いよ!どうですか!観る者を選ぶネタだって、女の子は意外と「可愛いー」でスルーしてくれるはず。ははは。
あとケロロも私の周囲のキャラクター好きな女の子には人気がありますが、ケロロからガンダムへのステップアップは、期待しないほうがいいと思われます…。そもそもパロディの元ネタを楽しめる、というのがオタク的。


あと皆がこだわりをみせるエヴァですが、エヴァはうちら世代にとっては超メジャータイトルなので、マイナスのイメージ持ってるか、リアルタイムで観てたか、見てみたかったんだ!と喰いついてくるか、3パターンのどれかだと思います。
でも、やっぱり改めて観て、当時彼氏側がリアルタイムで経験した熱量を、彼女が今感じるのは無理じゃないかなぁ。というか、ぶっちゃけ私自身が、エヴァ世代でありながら作品を観たのはつい最近(春エヴァ夏エヴァは未見)なのですが、普通に「すごく面白いアニメ」として楽しく観ることができてしまったので…(この時点でアニメ好きオタク失格ですかね)。
そしてまぁ、リアルタイムで観ている子も相当数いるということからもおわかりでしょうが、観たからと言ってその子と突っ込んだ話ができるかというと…うーん。


最後にもう一点。見落としがちですが、エヴァに限らず、普通の女の子だって、アニメ大国日本で育ったからには幼い頃まで遡れば、必ずアニメを観ていた時期はあるはずなのですよね。私の世代だったら古くはアラレちゃん、らんま、ドラゴンボール、セーラームーン、とか。実際、ゆるふわ女子だと思っていた子の口からテレ東系アニメのタイトルが出てびっくりしたこともあります。
でも、みんな、今は観ない。
もともと全く観たことがないわけではなくて、それって実は「卒業」してるんですよね、アニメを。昔セーラームーンが大好きだったからといって、今プリキュア5を楽しみにしている人は、世間では立派にオタク認定されるでしょう。
そうやって、卒業してしまった子=TVでアニメがやっててもスルー、が染みついた子に、あらためて「アニメっていまでもこんなに面白いよ!」ということを伝えるっていうのは、やっぱり凄く難しい。根本的に、「面白い」の感覚が違うこともあるし、今のアニメ作品の性質の問題もあるのかもしれない。
これまでに挙がったような作品ひとつひとつを面白いと思ってもらうことも素敵だけれど、なにより、再び「アニメ」というコンテンツが、その子にとっての選択肢の一つになってくれたらいいな、なんて思うんですけど。でも、何らかの作品を面白いと感じてもらえない限り、それ以上押しつけることもできないし。
やっぱりそこは、「彼が面白いと思うんだから、私も観よ!」っていうポジティブラブパワーがものを言うのでしょうか。
というわけで、よりハードルの高い、まずは恋人ゲット!というフリダシに戻るのでした、ちゃんちゃん!


追記  7/25 23:55


非オタの子とアニメが語れるだなんて勘違いよ!そんなのキモオタの素よ!と、結局はかなり元増田氏を非難することを書きましたが。
一方で、私、もともとオタクの独特の閉鎖性もあまり好きではないんですよね。一見さんお断りな感じとか、初心者さんの知識不足を必要以上に叩いたり、嘲笑するようなところとか。
以前自分も「興味がある人同士、もっといろいろ語ろうよ!」ということも書いたと思います。そういう脱閉鎖性、という部分では、むしろ元増田氏の試みっていうのは、普段私が思っていることとスタンスが近いことなんですよね。
なのにその試みの根本に、スルーできない意識のズレを感じてしまって、そこを指摘せずにはいられなかった。
だから、このエントリは、元増田氏の「オタクが(アニメに興味を持った)非オタのためにどこまでオタ臭を出さずに(=初心者へのハードルを下げて)アニメを説明できるか」やってみようよ、それに向いている作品を考えてみようよ、という提案*6自体を否定するわけではないんです。むしろそれに対しては賛成である、と明記しておきます。

*1:うちのブログを定期的に読んでくださる方のどの程度の割合がはてなーな人なのかいまだに全く見当がつかない!

*2:はてな用語。元の匿名エントリを書いた人のことを指します

*3:以前も「アニメ観てるからってみんなが監督まで詳しいわけじゃないよ!」って書いた。このあたりの話題に過敏なのかな、自分

*4:むしろこのエントリ全体、あんまり性別関係ないような…

*5:うわー自分で書いててねちっこい!あげ足取りでごめんなさい!

*6:()内はカナタ追記