かなたむんむんブログ

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ベイビープリンセスでの「お兄ちゃん」の存在の描かれ方


 <ちょっとフェルゼン!最近マリーのこと、ほったらかしにしてなくて!?


 なんて言われそうですが、ちゃんとべびプリ追っかけは継続中ですよ。(上のマリーは現在描きかけ)
 むしろ凄すぎておいそれと発言できぬだけなのじゃ!


 こういう大規模なweb上のガールズ企画ってこれまでなかったと思うんですが、
 口火を切ったべびプリがこのクオリティとは…
 各キャラとのやり取りを楽しむものかと思いきや、それは、全く別のものだった。
 文章のやり取りを越えて、彼女達のキャラクター像、世界観、そして物語がどんどん構築されていっている!
 そしてそれをリアルタイムで味わうことができ、その上自分もお兄ちゃんとしてそれに参加することができる!!
 その快感、喜び、ドキドキ感。
 べびプリはどうしてそこまで僕らの心を震わせてくれるのか―――。


 というわけで今回は、その「形式」について考えてみました。



 べびプリは、姉妹達が順番に書いていく日記、によって日々が進んでいきます。
 日記とはいえ、まるで会話のような部分も多く、時にはリアルタイム形式になることもあります(2月14日の小雨の回とか)。
 主人公と周囲のキャラクターとの会話によって物語が展開していく、というのはいわゆる恋愛シュミレーションゲームの王道なのですが、比較してみると、べびプリは主人公に関する描写が少ないことが特徴として挙げられると思います。


 そしてそれが、我らの心をよりトキメかせている秘密ではないかと。
 (以下、2月22日の公式日記から引用)


  氷柱『なんか――今日は気分が乗らないわ。
     あなた、この日記、代わりに書いておいて。』


  主人公『ええ!?俺が代筆なんて、できるわけないし…な、なんでいきなりそんな…』


  氷柱『は?なにもごもご言ってるの?』

 こうしてゲーム風にしてみるよりも、


  なんか――
  今日は気分が乗らないわ。


  あなた――この日記、代わりに書いておいて。


  は?


  なにもごもご言ってるの?


  あなたは私の下僕なんだから――
  それぐらい当然でしょ?

 と書かれた方が、臨場感がある不思議。
 普通なら、文字情報が多い方が、よりその情景を想像しやすいはずなのに。


 しかし、べびプリの場合、余計な描写はいらんのです。
 なぜなら、氷柱に上のセリフを言われた瞬間に、まさしくトゥルーお兄ちゃんは(画面の前で)「もごもご言っている」のだから!!
 お兄ちゃんはここにいる
 だからこそ、主人公に関する文字としての情報はここでは必要ないのです。


 けれど、だからといって、完全な姉妹達のセリフだけでは物語として成立しない。
 そこで、日記です。
 「相手のキャラクターに文章を書かせる」ことによって、
 彼女達の視点からある程度の状況説明がなされ、そこに二人の関係が成立するのです。


 おまけにそれは、
 彼女達が1対1で、自分に伝えたいと思ったことを伝えてくるというドキドキがあります。
 くるくると視点が変わることで、彼女達の個性や関係性が描かれ、世界が立体感を持ってきます。
 しかも、限られた情報を我々は「自分の目」で組み立てていくという謎解きのような楽しみまであります。


 考えれば考えるほど、この日記形式というのは素晴らしいアイデアだということがわかりますね!! 


 さらに面白いのが、こういうケース。
 (以下、2月25日の公式日記から引用)


  あーあ。
  あなたったら――
  あーんなアホな日記書いて――。

  本当にバカね?

 「自分がいったいどんな日記を書いたのか」、どころか、
 「自分が結局氷柱の日記を代わりに書いた」という情報さえ与えられず、
 いきなりこれを投げつけられるわけです。


 ただ、その瞬間、トゥルーお兄ちゃんは「おおそうか、俺は結局あの日代筆したんだ」と理解するのではなく、
 「ああーやっぱりあの日記じゃ駄目だったかぁ」と反応するのです。
 なぜなら、もちろん22日に氷柱に『日記を書け』と言われた時点ですでに、お兄ちゃんは日記を書いちゃったからです。


 わざわざ姉妹達からいつ日記を書いたのか、内容がどんなものだったのかを伝えられなくても、
 書いているのですよ、お兄ちゃんは!! *1



 …と、いうわけで、このベイビープリンセスという企画。
 もちろんキャラクター性、物語性、企画性、意外性、どの要素を取っても恐ろしいほどのクオリティなのですが、
 その分要求される「お兄ちゃんリテラシー」の高さも物凄くハイレベルだなぁ、と思った次第でした。



 ひょうちゅうちゃんかわいい!

*1:もちろん、実際にコメント欄に書いてるお兄ちゃんも。彼らは我々の中のほんの一部の猛者にすぎない、という前提で…